聴覚障害者のネットワークアクセスについて

internetとの接触について

現状では、普段からPCに慣れた高学歴な聴障者くらいしか利用していない。 PCを利用していながら、e-mailを使っていない(使えない)でいる人も多数 いる。理由として、文章の読解力の問題で、マニュアルがあっても理解しづらい 点があるように思う。これは聴障者対象の講習会でもinternetに関する講習を 要望する声が多いことからも伺え、またISP のサポート体制が音声通話偏重か、 e-mail(会社からのアクセス向け)となり、ファクスまで気を配る所が少ない。

利用料金の支払いがカードのみの業者も多く、これもバリアとなっている。

情報発信について

 先進的な聴障者はweb pageも開設し、自己PRを行っている。しかしながら 先に挙げたように大半は文章を書くのが苦手(日本手話は文法がかなり異なる) なためか、積極的になれないでいるようだ。むしろ同じ聴障者同士での話に 終始しているように見える。手話サークルなどで実際に対面する機会の方が 好まれるようだ。

社会的な関わりについて

こうして手話サークルなどの聴障者社会に閉じこもった交流が偏重されると いきおい一般社会への関わりが少なくなっていく。結果として、メーカーには どのようなものが欲しいのかが伝わりにくくなり、また需要の調査もしにくい という面も浮き上がっているよう。これは行政についても同じようにいえ、 特に顕著なのが音声ガイドを伴ったファクス情報サービスといえるかもしれない。

現在は利用説明の時に、音声の時間を待ち時間に置き換えたりしているが、 根本的な解決策としては音声通話に文字情報を織り込んだ通話手段になるのだ ろうが、ファクスやパソコン通信など、音声とは共存しない通信システムが 多い現状では、音声と文字を共存するシステムで簡単に解決することが可能な ことにまだ気づいていないようである。

ちなみに私はテレクラを利用したことがない。私案のピポパ変換表示対話に 対応すれば利用できるのであるが:-)

バリアは双方に存在する?

こうしてみると、社会側は理解しようという姿勢が欠け、また当事者側は 表現力の問題で理解してもらおうという姿勢が足りない点が重なり、また 目に見える形での改善とはなり難いためか(テレビにしたって、字幕放送は 一般の人には必要とされないのでピンとこない)、物理的バリアフリー政策 と比べてもはるかに立ち後れているといわざるを得ない。

しかし高度情報社会を目指すとすれば、ただでさえ情報社会から取り残さ れている面が多い聴障者を出来る限り中心に据えて地道なところから改善す ることが求められるが、先日の滋賀県警察の携帯電話文字通報対応の話によ ると、リレーサービスを行っているボランティアが要望を出したようだと いう報道がある。

ただし、ボランティアが要望した内容の中で、携帯電話の限界などを把握 しているかどうかに疑問が残る。手話通訳でさえ不本意な要約が発生するこ とがあることを見るとなおさらである。